| 逆転発想のトレー 
 一般的に無歯顎の印象において、各個トレー的形状のトレーで印象を採ることからスタートしている。そして各個トレーにてボーダーモールディング(辺縁形成)し、より理想的な印象を採ることを良しとしているが、なかなか納得のいく臨床をすることが難しい現実がある。いろいろなメーカーの既成トレーにチャレンジしても、挫折の連続というのは筆者だけではないと思われる。そこで逆転の発想で作られたのが「ヒューマントレー」だ。これは有歯顎対応と思われるボックスフォーム型の無歯顎用トレーである。
 簡単に説明すると、大きく採れるトレーでスタートを切れば近道という事。もちろん大きく採り、大きく作ってしまえば患者に受け入れてはもらえないわけだが、採り足りないスタートを切れば、なかなか理想的な着地点にたどり着かないものだ。
 
 
 
 ヒューマントレーを用いた印象法 前述の通りヒューマントレーを用いた印象は、大きく採って大きすぎないように作るのが特徴で、手順は以下の通りである。
 
 ① 硬練り:アルギン酸印象材を硬練りにする
 ② 山盛り:アルギン酸印象材をトレーに山盛りにする
 ③ 水かけ:トレーに山盛りになったアルギン酸印象材を注水下で成形する
 
 臨床上ボックスフォーム型のトレーでは当りが出やすいと思われがちだが、下顎においては頬棚後縁や舌小帯部のリリーフカットにより当たりづらいというのが特徴だ。またアルジネートを用いることによって硬さを自由に変えることができ、術者の意図を反映させる印象効果を期待することができる。
 
 
 本当にうまく採れるのか? 
 この手法はアルジネートを用いているため、印象精度に多くの不安を感じられるかもしれないが、製作の精度をトータルで考えると、決してその精度に不満を持つものではない。不足印象のスタートでは術者ばかりではなく患者に多くの負担をかけ遠回りであることは確かだと思う。
 まずは大きく不足のない印象が採れる本品をお試しいただきたい。印象が楽になると思う。
 
 
 
 |